– 今回の記事は『細井ますみ』が担当しています –
松本救助さんのめがね漫画「眼鏡橋華子の見立て」をご存知ですか?『読むとメガネがかけたくなるメガネ漫画!!』というキャッチフレーズにつられて、つい読んでしまいました。極上の1本のメガネをお客様に引き合わせるお仕事を任されて銀座の眼鏡画廊を取り仕切る女子大生「眼鏡橋華子」。その眼鏡橋華子も困っているかもしれない。興味のある方は続きをどうぞ。
きっかけは「Cutie Pai まゆ」ちゃん
「Cutie Pai まゆ」ちゃんは、福井県眼鏡協会公認の「めがね大使」で、眼鏡業界のイベントなどに参加して業界を盛り立てます。また、彼女は当店がある板橋 ハッピーロード大山商店街の「公認アイドル」でもあります。商店街のイベントではお年寄りにも優しく、サービス精神満点のハッピートークで頑張ってくれます。礼儀正しく、義理に厚く、普段も明るく元気が良いまゆちゃん。お店に取材に来てくれた時、カメラが回るとさらにパワーアップモードに切り替わり、「プロだな~」とひとしきり感心しました。業界と商店街の両方で関係があるため馴染みになり、頑張っているとやはり応援したくなりますよね。
そのまゆちゃんが2018年9月25日に発売した「めがね」ソング第2弾”メガネmyboy”のイラストを「眼鏡橋華子の見立て」の松本救助さんが担当しています。トレードマーク”猫型メガネ”を掛けたまゆちゃんのイラストは、彼女の雰囲気が良く出ていてとてもキュートだったので興味が湧きました。それが漫画を読んでみようと思ったきっかけです。
眼鏡橋華子の見立て
漫画「眼鏡橋華子の見立て」の内容は眼鏡全般多肢にわたり、設定も異色で少々オーバーアクションにて話は展開されます。「見立て」ですから、お客様のメガネを選んで差し上げる過程が色々描かれるのですが、のめり込みっぷりが半端なくて笑えます。でも内容は至って真面目。主人公眼鏡橋華子の常道を逸したメガネへのこだわりは、純粋に「メガネが好き!」からきているので、メガネ啓蒙活動とも言える内容です。フレームの話に重点が置かれているので眼鏡の聖地”鯖江”もたっぷり登場してます。極上の1本のメガネに出会えるよう、その人のなりたい理想を聞くという姿勢は、フレーム選びには必要な視点です。
前述の通りメガネ啓蒙活動的な内容でもあるので、「これは、本当にそういう現実あるよ」と考えさせられる回もあります。
例えばネットで買ったメガネを使っていて、「掛けるといつも頭痛がする」、「頭痛はメガネにつきもの」と思っている男の子の話など。素材も作りもイマイチのフレームをフィッティング(顔にきちんと合わせること)なしで掛けているという設定。「眼鏡橋華子」に見立ててもらったメガネを掛けると、それは羽のように軽くて経験したことのない掛け心地で、人生の転機を予想させるストーリーになっています。「違った度数を掛けていると目にも悪いのに」とも華子さんはつぶやいています。その通りです。簡単にメガネが買える時代、きちんと顔に合わせることもしない、メガネがとても軽んじられている現実がありますよね。
それでもこの男の子はまだ若いですから、この時点でメガネが大切なことに気付けて幸せです。
当店での最近の話
メガネを作りかえる度に、だんだん見えなくなってきて、とうとうメガネ屋の店員さんに「もう当店ではこれ以上度は出せません。眼科の処方箋をもらってきて下さい。」と言われたお客様がいらっしゃいます。それで眼科の処方箋をもらったのですが、「その処方箋でもやっぱり見えないので、結局メガネは作らなかった」のです。たまたまその話を同窓会で聞き(私の同窓生です)、「良かったら当店に来てみてください。」とご案内しました。
検眼には途中休憩を挟み、本来の視力を取り戻して頂くまでに3時間近くかかりました。
「あっ、良く見える!こんなに見えたことないな~。楽だな~。」と言っていただけましたが、素直には喜べません。どうしてこんなことになったのでしょうか。
「メガネを作りかえる度に見にくくなる」
「メガネは掛けるのに苦痛を伴うもの」
これ程ひどくは無いにしても、近い事例は山ほどあります。実際に当店にいらっしゃる多くの方がそうです。
メガネは生活の質を高め、毎日を快適に過ごすために欠かせないもののはずなのに、残念なことです。
同窓生は、乱視の矯正がなされずに、見えにくい分を補うために近視の度数をあげていたのでしょう。年齢と共に老眼が入り、近視の度数が必要以上に強いため遠くも近くも見るのにとても疲れたと思います。長年の目にかかる負担で目は悲鳴をあげていました。
まず正しい度数をきちんと出せること、メガネ屋の基本だと思うのですが。
悲しい現実です。
メガネ好きをふやすために
当店ではメガネは屈折異常を矯正する医療器具としての側面が第一であると考えます。見え方を重視しています。
フレーム選びもとても大切な要素ですが、まず視力検査をして正しい度数を出し、入念な装用テストで実際に掛ける度数とレンズの種類を決めてからフレームを選びます。お客様の度数やレンズの種類によっては、フレームの形状に制約があるからです。形状の条件をクリアしていれば、後は眼鏡橋華子の見立てのごとく(とはいかないかもしれませんが)、なりたい自分、理想とする世界を実現できるよう、お客様の1本を探すお手伝いをさせていただきたいと思います。
極上の1本のフレームには極上の見え方が無ければ意味がありません。極上の見え方の提供には、正しい検眼と豊富なレンズの知識およびお客様の見え方に寄り添う気持ちが必要です。今、そういったことの出来るメガネ屋が少なくなってしまった気がします。眼鏡橋華子も困っているかもしれない、と思う所以です。
楽に良く見えて、なりたい自分を実現できるメガネ、きっとメガネ好きになってくれるでしょう。メガネ好きをふやしたい、眼鏡橋華子と当店の共通の願いです。